なぜ「Greeting」がフロントエンド間で壊れるのか
SillyTavern のキャラクターカードは、V2 仕様の firstmes(First Message)と alternategreetings(代替グリーティング)を JSON 内に保持している。この構造自体はポータブルだが、実際に別フロントエンドへ持ち込むと冒頭メッセージが機能不全を起こすケースが多い…
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典型的な破損パターンは次の3つ。
- プレースホルダ依存:
{{user}}{{char}}を独自マクロやテンプレート構文で装飾し、他フロントで未展開のまま出力される - UI 前提の演出:
*斜体*や「台詞」の解釈、改行・空行の扱いがフロントごとに異なる - 状態の埋め込み:特定の World Info/Lorebook 発火を前提にした挨拶で、知識が欠落した環境では意味が通らない
2026 年現在、SillyTavern 代替として iOS/Android アプリ、Web 版、Chrome 拡張など複数のフロントが併存している。カードを1枚書けば全環境で使える時代になった分、Greeting の「環境非依存性」が品質を左右する。
ポータブルな Greeting の設計原則
1. プレースホルダは素の {{user}} / {{char}} のみ使う
V2 標準のマクロだけに限定する。{{random}} や条件分岐マクロはフロントによって未対応・挙動差があるため、代替グリーティングの分岐で代替する。
× {{getvar::mood}} に応じて…
○ (代替グリーティングを3パターン用意し、状況別に書き分ける)
2. マークアップは最小公約数に合わせる
| 要素 | 安全度 | 備考 |
|---|---|---|
*動作描写* | 高 | 主要フロントで斜体解釈される |
"台詞" / 「台詞」 | 高 | どちらも可読 |
| 空行による段落分離 | 高 | プロンプト整形に影響しにくい |
独自タグ <status> 等 | 低 | 未解釈で生テキスト化する |
| Markdown 見出し・表 | 低 | チャット本文では崩れる |
3. 最初の1文で「誰が・どこで・何をしているか」を確定させる
フロントが変わってもコンテキストは引き継がれない。Greeting は毎回ゼロから状況を提示する必要がある。Kaelen the Wandering Blade のような放浪者キャラなら、場所・天候・直前の行動を冒頭2文に畳み込む。
雨宿りのため軒下に身を寄せた。「……君も雨に降られた口か」
この程度の密度で、どのフロントでも情景が立つ。
4. ユーザーの入力を誘導する余白を残す
Greeting で問いを投げ、{{user}} の応答を自然に引き出す。長すぎる独白はトークン消費とフロント差の両面で不利になる。
代替グリーティングの実装手順
- 基準となる First Message を1本書く(150〜250字目安)
- 分岐軸を決める:時間帯/場所/関係性のいずれか1軸に絞る
alternate_greetingsに2〜4本追加:各本は独立して成立させる- Lorebook 依存を除去:固有名詞の説明は本文に1行だけ埋め込む
- 複数フロントで検証:SillyTavern、MiniTavern アプリ、Web Tavern、Chrome 拡張で表示確認
特に手順5は省略されがちだが、\n の扱いや空行の圧縮はフロント差が出る。検証せずに配布すると、購入者側で「改行が潰れて読みにくい」という評価に直結する。
フロントエンド移植性チェックリスト
- マクロは
{{user}}{{char}}のみ - 独自タグ・HTML・Markdown 表を使っていない
- 1つの Greeting が単独で状況説明として完結している
- 台詞と動作描写の比率が 6:4 程度
- 固有名詞の初出に最小限の説明がある
- 代替グリーティング同士で設定矛盾がない
このチェックを通せば、sillytavern-alternative な環境——ネイティブアプリでもブラウザでも——で同じ体験を再現できる。Character Card Market で配布する場合も、Greeting の品質はそのままレビュー評価に反映される。
まとめ
Greeting はキャラクターカードの「第一印象」であり、同時に最も移植性の影響を受けやすいパーツだ。V2 標準マクロに限定し、マークアップを抑え、各代替グリーティングを独立させる。この3点を守るだけで、frontend-portability は大幅に向上する。
MiniTavern では iOS/Android アプリ、Web Tavern、Chrome 拡張の各環境で同一カードを扱えるため、書き上げた Greeting の検証にも向いている。Kaelen the Wandering Blade のような完成度の高いカードは Character Card Market で入手できるので、代替グリーティング設計の参考として実際に読み込んでみるとよい。
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