World Book(World Info)の基本構造を理解する
SillyTavernのWorld Book(World Info、通称lorebook)は、キーワードがチャット内に出現したときだけ該当エントリをプロンプトへ挿入する仕組みだ。キャラクターカードのpersonaやdescriptionと違い、世界観・地名・組織・用語を「必要な瞬間にだけ」供給できる点が本質的…
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挿入位置はプロンプトのどこに置くかで挙動が変わる。
| 項目 | 役割 |
|---|---|
| Key(トリガー) | 発火条件となる単語。カンマ区切りで複数指定可 |
| Content | 実際に挿入されるテキスト |
| Position | before/after char、@D、ANなど挿入先 |
| Depth | プロンプト先頭・末尾からの距離 |
| Order / Priority | 複数ヒット時の優先度 |
| Probability | 発火確率(100%以外は揺らぎを生む) |
| Selective / Secondary | 追加キーによるAND条件 |
| Constant | キーに関係なく常時挿入 |
初心者が最初に失敗するのは、Keyを広すぎる一般名詞にすることだ。「魔法」「街」では毎ターン発火し、コンテキストを圧迫する。固有名詞・造語・固有の役職名をKeyに据えるのが原則となる。
エントリ設計の実践手順
1. 世界のレイヤーを分ける
World Bookは一枚岩にせず、役割ごとに分割すると管理しやすい。
- 地理レイヤー:国家、都市、建造物、気候
- 勢力レイヤー:組織、派閥、政治構造、敵対関係
- 人物レイヤー:NPC、役職、血縁、過去の因縁
- 概念レイヤー:魔法体系、宗教、通貨、技術水準
- メタレイヤー:語り口、禁止事項、トーン指定
キャラクターカード1枚につき1つの巨大lorebookを抱えるより、複数のWorld Bookをプロジェクト単位で使い回すほうが拡張性が高い。
2. 1エントリ1トピックに絞る
1エントリに複数の話題を詰め込むと、無関係な文脈で余計な情報が混入する。たとえば「首都ヴァルドレンと魔法学院と通貨単位」を1つにまとめず、3エントリに分割する。Contentは50〜150トークン程度が扱いやすい。
3. Keyの設計を詰める
- 主要Key:固有名詞をそのまま
- 補助Key:表記揺れ、略称、英語表記、カタカナ/漢字の差
- Selective + Secondary:
ヴァルドレンかつ学院のようにAND条件で誤爆を抑える - Regex Key:
/ヴァルドレン(市|首都)?/のように柔軟に拾う - Constant:トーン指定や絶対ルールに限定使用
4. Position と Depth を調整する
- before char:世界観の前提。キャラ定義より前に置きたい設定向け
- after char:会話の直前に効かせたい状況情報向け
- @D(Depth指定):Depth 0〜4は強く効くが、深すぎると直近の会話を押し出す
- AN(Author’s Note):トーンや演出の制御に向く
迷ったら「世界設定はbefore char、その場の状況は@D Depth 2〜4」を初期値にすると安定する。
5. Order と Probability で優先度を制御する
複数エントリが同時ヒットした場合、Orderの数値が小さいほど優先される。重要度の高い設定は小さめ、装飾的な情報は大きめに設定する。Probabilityは80〜100%に留め、頻繁に揺らすと設定が破綻する。
没入感を高める応用テクニック
段階的開示(プログレッシブ・ディスクロージャー)
物語の進行に応じて情報を解放したい場合、同一トピックに複数エントリを用意し、Keyを後半の地名・出来事に紐づける。序盤でネタバレを避けつつ、中盤以降に深い背景が浮上する構造を作れる。
キャラクターカードとの連携
- カードのdescriptionには「本人が自認している情報」のみ
- World Bookには「世界が持つ客観情報」を分離
- カード内の
{{char}}や{{user}}とWorld BookのContentを矛盾させない
この分離により、カード単体を配布してもWorld Bookを差し替えるだけで別の物語に転用できる。
トークン予算の管理
World Bookは発火するたびにコンテキストを消費する。目安として、常時発火エントリは全体の1〜2割に抑え、残りはキーワード駆動にする。Chat Historyの長さと相談しながら調整する。
よくある落とし穴
- Keyが一般名詞すぎて毎ターン発火する
- Contentが長文すぎて直近の会話を押し出す
- PositionとDepthの意図が噛み合っていない
- カードとWorld Bookで設定が矛盾している
- エントリを1ファイルに詰め込み、再利用できない
これらはすべて、レイヤー分割とKey設計の見直しで解消できる。
まとめ
World Bookは「いつ・どこに・どれだけ」情報を注入するかを制御する装置である。固有名詞をKeyに、1エントリ1トピック、PositionとDepthを意図的に設計する——この3点を守るだけで、AIロールプレイの没入感は明確に変わる。まずは10〜20エントリの小さなlorebookから始め、キャラクターカードと組み合わせて挙動を観察するのが定石だ。
設定を組み上げたら、実際に動かす環境も整えたい。MiniTavernではiOS・Androidアプリに加え、ブラウザから使えるWeb TavernとChrome拡張を提供しており、デスクトップとモバイルで同じWorld Bookを扱える。配布済みのキャラクターカードを探すならキャラクターカードマーケットも活用できる。自分のlorebookを持ち込み、環境を選ばずロールプレイを続けたいユーザーに向いている。
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